酒燗器(試作品) 作 光藤佐
左のは、土鍋の土で作られています。
火にかけられるそうですが、どうゆうふうに使ったら良いかな。
だいたい一合サイズのとっくりが入っています。
真ん中は灰釉
右は黒釉
今頃皆様どんなのを作ってくれているでしょう。
植松永次さん
古信楽の土の焼き〆でしょうね。多分。
でも最近色の着いた作品も見ます。
恩塚さん
「アクリルで色をつけるから、使えないよ。」
使えない作品。どんな風にでも想像できて楽しみで仕方がありません。
こんな風に一日中、あちらこちらの作家さんの工房に思いを馳せております。
「日向燗」展と題することにしました。ひなたかん。良い響き。
最初「人肌燗」と、どちらにするか随分迷いました。
暖かい感じの方が良いかな、と
「日向燗」にしました。
燗の温度の呼び名です。
綺麗でしょう。
次に挙げたのが燗の種類です。
飛び切り燗=55度前後
熱燗=50度前後
上燗=45度前後
ぬる燗=40度前後
人肌燗=37度前後
日向燗=33度前後
冷や=常温
涼(すず)冷え=15度前後
花冷え=10度前後
雪冷え=5度前後
一つ一つ物語ができそうです。
酒の燗の温度などなんでも良いです。燗酒用の温度計も出ていますが適宜で。
この適宜という言葉は、ゆうえいの口から最低1日一度は出てきます。
ゆうえいは純米酒を、人肌燗か、日向燗で飲むのが好き。
ずっと、家にある適当な大きさの入れ物にお湯をはり、湯煎していました。
ホーローのミルクパンだとか、骨董のところどころ漆の剥げた大き目のお椀だとか。
でも、ふと思ったのです。
見立ての器を使う楽しみもあるけれど、せっかく作家ものの器の店をやっているんだから、
燗酒用の質の高い器を作ってもらおう、と。
思い立ってから、今に至るまで三年以上になります。
まあ、いったら雑器。
作家さん、作るのいやがりはらへんやろか。
くよくよ思って時間が経過。
友達に話したら
「それは、熟成してるのよ。」という力強い言葉が返ってきました。
仕事をしていて、帰る時間の数時間前から、
「今日は、あのお酒を、ほんの少しアルコールの角がとれる程度に温めて、杯はあれで。じゅるっと。」と思っているときの、ワクワク感。
買いたかった本をやっと手にして、その本を目の端に入れながら、いつもだと放って置くような用事をゆっくり片付ける。
そして、おもむろに紐解くという、身を焦がすような喜び。(これは、過激。でも正に…。)
それに似た感覚。
「そんな感覚を表してください。」と、お願いしました。
ですから、本当に使えないものも出てくると思います。
作家が何を優先順位とするかです。
しかし、使えないものって周りにはいっぱい。
絵だって彫刻だって人形だって。
それと一緒です。
又、本当にゆうえいは初歩的なことしかわかりませんが、少しづつ、
酒を温める、ということを書いていきたいと思います。